せっかく行くなら“マスター”しよう!橋野鉄鉱山 取材レポート <後編>

釜石市が誇る近代製鉄発祥の地を、巡ってみました

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県北・沿岸振興室の情報発信ライター担当・いわて復興応援隊のRIKAKOです。

7月初めに沿岸地域の世界遺産である《橋野鉄鉱山》へ、「さんりく旅しるべ」ライター@イーティさんと取材に行ってきました。

 

その取材レポートの、前編を先日こちらにアップさせていただきました↓↓

https://sanriku-travel.jp/fun/area_report/p5286/

  

前編に引き続き、後編です。

後編では、橋野鉄鉱山の目玉とも言える「高炉」を見ていきます!

  

  

ポイント③ 三基の高炉はそれぞれ教えてくれることが違う!

 

橋野鉄鉱山には、一番~三番まで三基の高炉があります。当時はその内の二基を稼働させ、残る一基を清掃・修繕していたそうです。

大体1サイクルが50日間だったそうですよ。

 

こちらは「一番高炉」。

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一番高炉だけど作られたのは2番目で、なぜ“一番”高炉なのか正確な理由は分かっていないそうです。

当時の設計図に「一番高炉」と書いているので「一番高炉」なんだそう。う~ん…!

この高炉は、先の震災で一部が動いてズレてしまったため、過去に修繕工事が行われています。その際に積み石の重さを計ったところ、重いもので5tもあったそう!

当時の人たちは、5tの岩をどうやって積んでいたのでしょうね…

  

 ** 蛇足 **

ちなみに私はピンと来ていなかったので追記しておきますが、この現存している石組みの部分は高炉の一番外側。内部の温度を下げないために周りを囲んでいたもののようです。高炉は巨大な魔法瓶のイメージなんですね。

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インフォメーションセンターにある復元模型。

 

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こちらが「二番高炉」。

だけど作られたのは3番目で、以下略(笑)

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ところでこの三基の高炉に見られる重厚な石造り、何かを彷彿としませんか?

 

ヒントは下の写真なのですが・・・・・・・・・・

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そう、城です!(写真は盛岡城址)

  

橋野鉄鉱山の高炉には、なんと“城の石垣”と同じ技術が採用されていました。

確かにお城の石垣は、現代にもそのままの姿を残すほど堅強!灼熱の鉄が煮えたぎる高炉の外壁はできるだけ崩れないように強くしておきたい…!という気持ちが伝わってくるようです(笑)

 

二番高炉で注目なのは、その石垣に隠された「石工の技術」を見ることができること。

石垣ってどうして滅多なことではズレないんだと思います?

私はずっと石自体が重いからだと思っていましたが、なんとこんな技がありました。

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↑凸(でこ)   

     

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↑凹(ぼこ)

  

なんと石と石の接触面に、デコボコがあるんです!!!知らなかった~!すごい!

パズルのピースのように、このデコボコを合わせることで上下のズレを防いでいます。

さらに隣り合う石同士に溝が彫られており、そこに「チキリ」と呼ばれる蝶番のような金具をはめ込むことで、

左右のズレを防いでいるそう。

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なんと二番高炉の足元には、160年前のチキリが残っているんですよ!

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洋式高炉と日本の建築技術(建城技術?)が合わさった建造物という点でも、橋野の高炉は珍しいようです。

またこの大きな石がどこから運ばれたものなのかも気になる方は、現地に行って確認してみて下さい!

 

 

そしてこれが「三番高炉」。

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これが一番初めに作られて・・・と言いたいところですが、作られたのは4番目。

えっじゃあ一番初めの高炉はどこに…?となりますよね。

この三番高炉が建てられる前にここに建っていた「仮高炉」――本当にこの設計で製鉄が可能かを確かめた試験炉――が

一番初めに作られたものだそうです。

二番・三番が作られた後に改修され現在の三番高炉になったため、仮高炉は図面の中でしか確認できません。

 

この地の高炉建設の立役者と言えばもちろん「大島高任(おおしまたかとう)」ですが、実は彼が直接関わった高炉は、

その「仮高炉」だけだそうです。他二基の高炉と見比べると、確かにこれだけ四方に長方形の石柱があり、

見た目がちょっと違いますね~。

 

 

 

ポイント④ なぜ釜石が「日本最初の製鉄場」に選ばれたのか?

 

鉄と言えば今や福岡の八幡じゃないでしょうか。

なのに「製鉄発祥の地」は、なぜそこから遠く離れた釜石だったのか、皆さん疑問に思いませんか?

もちろん、この地が当時「国内最大の鉄鉱石産出地」だったことが大きな理由ではあるのですが、その他にも

「たたら技術(普代)」や「製炭技術(久慈)」など、製鉄に必要な知識を持った職人が三陸北部に多くいたことや、

森林資源に恵まれていたことも、迅速な高炉建設実現に関係しているのではないかとのことです。

そもそもどうしてこの地に鉄鉱石がたくさんあることが分かったのか?

その“逸話”も個人的には興味深かったので、併せて現地でガイドさんに聞いてみてほしいです♪

 

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【インフォメーションセンターに並べられたさまざまな種類の鉄鉱石。】

  

  

さて!

まだまだ語ってお聞かせしたいことの半分くらいですが、ぜひみなさんに実際に足を運んでもらいたいので出し惜しみをしています(笑)

 

「近代製鉄」ってそもそも何?“古代”製鉄もあるの? とか、

なんで釜石に突然「洋式(=外国の技術)」の高炉ができたの? とか、

なんで今は鉄といえば八幡になっちゃったの? とか、

ここで作った鉄は何に使われていたの? とか、

南部鉄器と橋野鉄鉱山は関係あるの? とか、

 

今回書かなかった↑のような疑問にも、ガイドさんは全部答えて下さいました!すごい!

疑問を紐解くと、これまで学んできた歴史がなんとなく繋がってきてとても面白いです。

みなさんにも本当に体験してほしい!

既に橋野鉄鉱山行ったことあるよって方も、ガイドさんを付けてもう一度回ってほしいくらいです(笑)

 

 

そんな橋野鉄鉱山ですが、青森・岩手・秋田の三県で現在実施中の《北東北三県大型観光キャンペーン(7/1(金)~9/30(金))》にて、特別企画が行われています!

▷▷▷https://sanriku-project.jp/event/article.php?p=557

この機にぜひ、ぜひ伺ってみてはいかがでしょうか?

 

 

道中の笛吹峠も有名なドライブの難所ですが、緑のトンネルが気持ち良かったですよ~(ご安全に!)

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この夏は、鉄の歴史を学びに、ぜひ釜石へ!

 

  

 (おわり)

 

 

※念のため※

現地には解説看板も設置されておりますが、血の通った説明を聞くと理解度が違う!という意味で、本レポートではガイドさん付きの見学をおススメしています。

お気軽に「釜石観光ガイド会」まで、ご依頼くださいませ♪

  

  

【お問合せ先】

橋野鉄鉱山インフォメーションセンター 

https://www.city.kamaishi.iwate.jp/docs/2020030600160/ 

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電話:0193-54-5250

住所:岩手県釜石市橋野町2-6

利用時間:9時30分~16時30分 

休館日:冬期休館(12月9日から3月31日まで)

利用料金:

〇入場料無料

〇AR映像配信用タブレット利用料 300円 

〇AR映像配信用タブレット利用料A音声ガイドペン利用料 300円

〇釜石観光ガイド会へのガイド依頼については、下記をご確認ください↓↓

https://kamaishi-kankou.jp/guideprogram

お問い合わせ

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  • 住所:岩手県盛岡市内丸10-1  岩手県商工労働観光部 観光・プロモーション室内
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  • Email:info@sanriku-travel.jp

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