岩手県立博物館特別展示「みる!しる!わかる!三陸再発見」取材レポート 【後編】 <盛岡市>
<岩手県独自の緊急事態宣言発出中による臨時休館のお知らせ> (2021.8.16更新)
岩手県立博物館は、岩手県独自の緊急事態宣言が出されたことに伴い、8月16日(月)から臨時休館となりました。よって開催中の開館40周年記念特別展「みる!しる!わかる!三陸再発見」は、8月15日(日)をもって閉幕いたしました。ご来場いただきました皆様、ありがとうございました。残念ながら見れなかった~、、という方は、こちらの展覧会レポート記事をご覧いただき雰囲気を味わっていただければ、幸いです。
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こんにちは。三陸DMO@イーティです。
現在、岩手県立博物館では2021年6月12日から8月22日まで、「みる!しる!わかる!三陸再発見」特別展を開催中です。
その取材レポートの、前・中編を先日こちらにアップさせていただきました↓↓
<前編>
https://sanriku-travel.jp/fun/area_report/p4355
<中編>
https://sanriku-travel.jp/fun/area_report/p4383
中編に引き続き、後編です。
<『みる!しる!わかる!三陸再発見』@岩手県立博物館 会期:2021/6/12~8/22>
※以下記事内容については、取材で伺った内容のほか、岩手県立博物館だよりNO.169 からの記事を抜粋したものも一部含まれており、ライターの方で再構成させていただきました。 なお写真については、予め掲載許可をいただいたもののみ、アップしています。(※博物館内においても写真撮影OKなものと、NGなものがありますのでご注意ください)
◎信仰とまつり・・・三陸地方の人々が豊かな海の恵みに感謝し、航海の安全と平安を祈るため、様々な信仰やまつりを生活の一部に取り入れていたことを紹介したゾーン
鈴:これは大船渡市にある長谷寺(ちょうこくじ)の十一面観音菩薩像です。県指定文化財に指定されていて、陸前高田市の観音寺、常膳寺の観音様とともに、「気仙三観音」と呼ばれています。この像は、あらゆる苦難からの救済と平安を祈る人々のよりどころとなってきました。この像はめったに外に出されないもので、今回展示のお許しをいただき、無事運んでこられて、ホッとしています。
イ:迫力凄いです・・立派な仏像が三陸にあるんですね~。
※写真は博物館からの提供です。こちらの文化財は、撮影禁止となっておりますのでご注意ください。
[宮古市赤前の御前堂は、江戸時代の「寄り鯨」
により大飢饉を乗り越えることができたとして
クジラに感謝し、その霊を弔い、大漁を祈願する
ため祀られたものといわれている。
その「鯨骨」の実物も今回、展示されている。]
◎三陸の旅・・・三陸を訪れた旅人たちの視点を通して、時代や目的によって異なる姿を見せる三陸の多様な魅力を紹介したゾーン
鈴:これは「岩手県観光鳥瞰図原図」といって、各地の鳥瞰図を生涯で3,000点以上描いた京都出身の絵師、吉田初三郎の作品です。岩手県観光協会のパンフレット(昭和12年(1937年)発行)の原画で、鮮やかな朱色の線で描かれた鉄道が印象的ですよね。当時は山田船越から釜石まで、線路がつながっていなかったのもわかります。また釜石製鉄所がしっかり描かれているところを見ると、当時の一大産業スポットであることがわかりますね。
イ:製鉄所の存在感がすごく大きく描かれていますし、もしや、市を代表する観光地のひとつだったのかも・・・想像ですけど。
鈴:太平洋側からの鳥瞰図になっていて、三陸海岸の描写は緻密に描かれています。また山々も数倍の高さで描かれてて、「観光と産業」の拠点をデフォルメした絵画となっています。
イ:東京の位置がはるか遠くに描かれているのも面白いですね(笑)。
イ:明治時代に、旧制中学校の生徒だった歌人・石川啄木が同級生と一緒に盛岡から修学旅行に来ていて、その旅程だったり、当時食べたもののイメージ写真が公開されているのも面白いです。
イ:内陸地だと有名なお寺に行った等と記載がある一方で、三陸地域では氷上山に登ったり、海水浴を楽しんだりしているんですね。時間を気にせず、ゆったりと自然に触れ合う旅をしていたんじゃないかなと想像します。また、井上円了の、熊安旅館での食事についても興味深いです。アワビのトロロ飯とか、今ではどこのお店で食べられるのでしょうか。。。
鈴:ここらへんの資料も、なかなか普段見ることができないので、面白いかと思います。
<あとがきインタビュー>
ご案内人:鈴木まほろ さん(岩手県立博物館 学芸第二課 学芸員)
イ:本日は、ご案内いただきありがとうございました!
鈴:こちらこそ、ありがとうございました。
イ:今回三陸地域を、5つのテーマにわけて展示いただいていますが、最初からテーマを決めて、、みたいな感じで展示作業は進められたのですか?
鈴:いやいや、じつは学芸員に、三陸について興味あるところを自由にピックアップしてもらったんですよ。そしたら結果、このような分類に収まったということで。
イ:決め打ちじゃなかったんですね!(笑)
鈴:そうなんですよ(笑)、しいていえば、最近わかったことや、新しいトピックスを入れるようには心がけました。
イ:ズバリ、今回の展示の目玉は?
鈴:大船渡市の長谷寺(ちょうこくじ)の十一面観音菩薩像ですかね。本当にこの仏様は、めったに展示会等ではお見せすることができないもので、本当に無事に運んでこられて良かったです。ほかにテンガイハタの標本や、大槌の絵巻なども普段お見せする機会がないので、学芸員としての充実感を感じています。折に触れて三陸地域に関する展示は小規模にやっていたのですが、その都度新たな資料の寄贈の話があったりして、全部まとめてお見せできる機会がようやく出来たと思います。
イ:今後、三陸に関する展示の機会はございますか?
鈴:コロナの関係で1年遅れての展示になりましたが、今後しばらくはないと思います。
しかしながら今回の展示内容の一部については、宮古市にある県立水産科学館で9月~10月にかけて公開する予定となっています。
イ:最後に、本展示のPRをよろしくお願いいたします。
鈴:観光的にまだあまり注目されていないのは「文化」の視点かなと思ってまして、三陸地方の独特の文化や風習などは、新しい発見が多いかもしれません。また自然の魅力もまだまだ深く掘り下げられる点が多くあると思います。
夏休みに三陸に行く予定がある方は、その前にこちらの展示を見ていただければ、三陸地域をより深く理解するための参考になるかもしれません。何か一つくらいは新しい発見があると思いますので、ぜひ期待して、見に来てほしいです。
イ:鈴木さん、本日は、お忙しいところご対応いただきありがとうございました。本展示会は8月22日までの会期で、 盛岡で三陸に触れられるめったにない機会ですので、多くの方に見に来ていただけたら嬉しいなと思います。
岩手県立博物館 HP http://www2.pref.iwate.jp/~hp0910/index.html
お問い合わせ
岩手県立博物館特別展示「みる!しる!わかる!三陸再発見」取材レポート 【後編】 <盛岡市>
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