令和3年度盛岡第三高等学校第一学年 総合探究授業同行レポート★釜石市コース

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  • 海鮮

<プログラムコーディネート>

すなどり舎  齋藤 孝信氏

 

<プログラム提供者>

すなどり舎  代表:齋藤 孝信氏

岩手大学:食料生産環境学科 後藤教授、于克鋒(ユ.ケフェン)特任研究員、ゼミの生徒の皆さま

釜石湾漁協白浜浦女性部の皆さま

 

<実施内容>

・「持続可能性のある漁業とは」講義    すなどり舎 斉藤氏

・3つのフィールドワーク

①グループA  【砂浜探検 後藤教授・ゼミ生と行くビーチ コーミング】

②グループB  【食品加工 于克鋒特任研究員から学ぶ未利用海藻アカモクの有効性】

③グループC  【魚食普及と地産地消・短時間で丸魚をさばけるようになろう】

 

会場となった岩手大学釜石キャンパスは、三陸水産研究の拠点として水産業をリードする人材育成により、新しい地域創生モデルを目指す場所として注目されています。大学の先生をはじめ、ゼミの生徒の皆様、浜のお母さん方の協力をいただき、多彩な体験を提供していただきましたので、ご紹介します。

 

《「持続可能性のある漁業とは」講義》

午前に行われた全員参加の講座は、大手釣り具メーカーから釜石へ復興支援委員として赴任し漁業担い手の確保と魚食普及仕事に従事した後、本年度4月からは同キャンパスの職員として活動を始められた、すなどり舎代表の斎藤孝信さんからお話をいただきました。

水産業の現状と課題、水産資源や漁業者、市場の問題、地域の中で魚を愛し、地域に向かい合ってきた斎藤さんの説明は理解しやすく、また食に関する産業としての重要性を感じるものでした。

地球の変化象徴となる温暖化、海水温の上昇が水産業・生活に大きな変化を与えている、そのような変化に対する知識・理解の重要性をお話いただきました。

講義の前に地元釜石高校の「鯨を釣ろう」の取材映像を見ました。同じ高校生でも、地域に住む学生ならではの面白い取り組みをしているのが分かりました。午後のフィールドワークに向けた下ごしらえがしっかりできたところで、昼食をとり午後は3つのグループに分かれてフィールドワークが行われました。

  

 《3つのフィールドワーク》

①グループA  【砂浜探検 後藤教授・ゼミ生と行くビーチ コーミング】

参加者15名とバスで釜石市唐丹の海岸へ移動。沿岸漁業資源の生態、資源評価などの研究を行う後藤先生とゼミの皆様といっしょに、海岸の漂着物を集める作業を行いました。集めた漂着物をキャンパスに持ち帰り分類・分析して、漂着物のストーリーから環境問題を考察するというものでした。

 

  

学校に戻ってからも検討できるように後藤先生からアドバイスをいただき、写真撮影や漂着物をあらためて観察してフィードワークを終了、最後は全員で後片付けを行いました。

 

 

②グループB  【食品加工 于克鋒特任研究員から学ぶ未利用海藻アカモクの有効性】

機能性の高い食品であることや海水を浄化する作用が注目されている「アカモク」について、食料生産環境学科の于克鋒(ユ.ケフェン)特任研究員から学びました。作業は釜石湾漁協白浜浦女性部のお母さんが指導してくれました。

 

最初に于特任研究員から「アカモクとは何か」から始まり、特徴や健康に良いとされる機能性や成分について説明がありました。

続いて釜石湾漁協白浜浦女性部による取り組みを紹介して頂きました。女性部は成分のカリウムが体内の塩分を抜く事ができ、脳卒中予防に効果がある事に注目をしているそうです。4年前までは「ずるも」と呼ばれジャマモクと言っていたそうです。

一通り説明の後、アカモクを使った味噌汁作りに入りました。アカモクの芯抜きをし大まかにカットした後、機械でさらに細かくしてボイルします(緑色に変わります)。その後味噌汁をつくり、先ほどのアカモクを入れて試食しました。

 

生徒の方からは、「以前は捨てられていた事に驚いた。近くのスーパーで売っていたら買います。」とのコメントをいただきました。漁協の女性部の皆さんからも、「孫と一緒にいるようで楽しい」とおっしゃっていただきました。

いや~ コロナ禍が収まってきて本当に良かったです。。生徒の皆さんも、受け入れてくださる方々も、こういうふれあいを待ってたんです(しみじみ・・・)

 

  

③グループC  【魚食普及と地産地消・短時間で丸魚をさばけるようになろう】

さばき体験に入る前に斎藤さんから、「水産物消費量は減少し続けているのですが、消費者の間にはもっと魚を食べたいという意識もあるんです。また水産物には優れた健康効果があるため、もっと食べる機会を増やすことが重要なんですよ」といった前振りの説明をいただき、いよいよ体験が始まりました。

3つのグループに分け、ソッコと呼ばれるブリの幼魚を3枚におろし刺身にします。ゼミの皆様や女性部の皆様に最初に手ほどきをしてもらい、それぞれ作業に入りました。

慣れない包丁さばきでハラハラドキドキでしたが皆真剣に取り組みました。見ていて一番難しかったのは皮を剥ぐ所ではなかったでしょうか。包丁の角度を何度も確認し、力加減も重要なところです。

 

最後は試食タイムです。刺身と照り焼きした魚を頂きました。

なんと美味しそうな色ですね・・・!

生徒の方からは、「難しかった。このコースに興味があったので選びました。家では魚をさばく事はしません(笑)」という声や、「刺身が苦手でしたが、新鮮でおいしかったので食べられました。自分でもびっくりしています。」とのコメントをいただきました。

 

 

 

三陸という海との関わりが産業の基盤になっている地域、自然と産業の関係から、持続性をもった世界を実現するための研究が進められています。その研究の一端を担う施設で生徒さん方は海に係る問題を通して、社会の抱える問題を知り、自分で調理したものを頂く事で、自然の恵みを再認識しSDGsの理解も深まったと思います。

最初の質問で、魚より肉が派の方が圧倒的に多かった生徒さん方でしたが、これからはきっと魚を食べる機会も増え、水産食品をおいしく食べて健康に暮らす仕組みづくりに興味を持っていただけたと思います。

※写真撮影の時だけ、マスクを外して撮影いたしました。

 

限られた時間の中でしたが、午前講座と午後の3つのフィールドワークと盛りだくさんの体験、教授をはじめゼミの学生さん、浜のお母さん、調整いただきました斎藤様、そして学校施設を提供いただきました岩手大学釜石キャンパスの関係者の皆様、ありがとうございました。

 

 【レポート:釜石サテライト 佐々木恒人、いわて復興応援隊   里館 徹】

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