令和2年度盛岡第三高等学校第一学年 総合探究授業同行レポート★釜石市根浜コース

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【プログラム提供者】
1.一般社団法人 根浜MIND : 代表理事 岩﨑 昭子 氏(浜べの料理宿 宝来館 女将)
2.一般社団法人 根浜MIND : 廣田 一樹 氏(浜べの料理宿 宝来館 勤務)

 

【実施内容】釜石根浜海岸再生と地域コミュニティ
1.未来に残す地域づくり(「語り部:岩﨑女将」による講話)
2.「松葉の堆肥づくり」から始める自然の循環サイクルの促進

 

【当日の様子】
心配していた天気も一転し、青空が広がった当日の朝、バスは予定どおり10時30分に到着しました。
宝来館へ入る際に生徒さん達は検温と手の消毒を実施、お手洗いも済ませて大広間へ移動、そして女将さんによる時間が始まりました。

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1.未来に残す地域づくり(「語り部:岩﨑女将」による講話)

女将さんより、まずは「ありがとうの手紙 #Thank You From KAMAISHI」の紹介があり、映像を視聴。
・岩手日報:https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/1/25/43270
・YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=Rz6nTvK0-DI

視聴後、女将さんが皆さんに問いかけます。「釜石出身の方いらっしゃいますか~? じゃあ、隣の大槌は~?」
1人の生徒さんが手を挙げました。「ありがとう。勉強良く頑張ったね~!(笑)」

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≪講話の概要≫

「2011年3月11日、皆さんは小学校に上がる前くらいだったのかな。あの日の記憶はありますか?」
先生や大槌町出身の生徒さんらの了承を得てから、宝来館を襲った津波の映像を流します。
そして、優しく語りかけるような口調で女将さんのお話が始まりました。


「当日は、当時の板長の息子さんの結婚披露宴をしていたんですよ。一度は裏山の避難道13mの高さにいたんですけど、スタッフが逃げ遅れている人達を迎えに行くと言い出すのを聞いて海を見たらまだ動きがなかった。まだ大丈夫だなとそのスタッフと一緒に戻ったんです。皆さんを誘導して再度山に上がったつもりが後ろから津波に呑み込まれました。水の中から空が見えたような気がします。気が付いたら真っ暗、ひっくり返ったボートが上から被さっていたんだと思います。ドドドッと音が聴こえてきてあぁ引き波だなと思いました。スタッフがわたしの手を掴んでくれて一緒に何とかマイクロバスの屋根によじ登りました。そこから山の斜面に飛び移ったのです。生涯に一度の火事場の馬鹿力、皆さん、諦めずに“生きたい”と思うことですよ。津波に巻き込まれても“生きたい”って思った人だけが生き残ったんじゃないかと後から思いました。

根浜地区には、67世帯あって人口が170人でした。目の前に広がる浜辺は、陸前高田市の高田松原の次、岩手県で2番目に広い海水浴場、白砂青松の砂浜でした。震災後、地盤沈下により砂浜がなくなってしまいました。県立大学の先生が仰るには、県内で松林が残ったのはここだけではないかということです。

鵜住居川の水門から向こう側、隣の片岸地区は約15mの高さの防潮堤にしました。根浜地区はこの高い防潮堤をお断りした経緯があります。震災後、仮設住宅に散らばった地区の住民が月に一度くらいの頻度で集まって色々な思いを話し合いました。その中で集落の高台移転を決めました。今でも記憶に残っています。それは、1人の漁師さんが“オラ達にできることはこの松林を次の世代に引き継ぐことだ”と言った言葉です。その後、実際に海浜植物の植栽活動を始め、今では地元の小学校や中学校の授業にも活用いただいています。

来年の3月であの震災から10年が経過します。ここ数年各地で大雨災害が発生していて大変な状況が続いています。気象庁も“自分で自分を守る行動を!”と言い始めました。わたしはあの言葉を岩手発祥のものだと思っています。明日が来るのは当たり前ではない。3月11日をすべての人が大切な人を想う日にと岩手日報社が推進していて、“最後だと分かっていたなら”という映像もネットで公開されています。また、ここからがスタート、釜石に興味を持って欲しい、世界を助ける人になって欲しいです。」と締めくくりました。
生徒さん達はメモを取りながら真剣なまなざしで聞いていました。

 

次に、今年の春先から取り組んだという「葦舟づくり」について紹介がありました。
「鵜住居川の河口付近でおおよそ300㎏の葦を刈り取って集めました。葦には浄化作用があり、これを刈り取るとその作用が10倍にもなると言われているんですよ。その葦を使って舟を作り、今年の海開きを大いに盛り上げようと思っていました。でも、残念ながら海開きはありませんでしたので、9月の連休に海のアクティビティ体験として活用しました。」

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2.「松葉の堆肥づくり」から始める自然の循環サイクルの促進

引き続いて、今回のコーディネーター廣田さんから午後の活動に関する説明がありました。
「ご覧いただくと分かると思うのですが、松林の中に松葉が大量に落ちています。これは集めて捨てるか燃やすくらいしかなく、海浜植物の植栽活動においても邪魔になっていました。そんな中で、松葉の堆肥づくりにより課題解決に取り組んでいるという福岡市の事例を知り、自分達でも出来るのではないかということで始めようと思いました。」

午後からは、それぞれA~Dのグループに分かれ、廣田さんの説明により「手順④」まで実施しました。

≪松葉を堆肥にして利活用する取り組み(大まかな手順)≫
① 松葉を拾い集めます。
② 木材で囲いを作り、その中に入れていきます。(①と同時進行)
③「炭化けいふん」や「腐葉土」を混ぜながら、時々踏み固めて隙間をなくしていきます。
④ 囲いがいっぱいなったら本日の作業は終了です。
⑤ その後、定期的に混ぜ返して熟成させます。
⑥ 出来上がった堆肥で土づくりを行い、野菜づくりの栄養として役立てます。(自然サイクルの循環を促進)

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作業の邪魔にならないように気を付けながら、「今回の7つのコースから、どうして“釜石根浜コース”を選んだのか」何人かの生徒さんにお聞きしてみました。
・「海に行きたかった」、「海の近くで作業をしたかった」(⇒ 単純明快ですね!)
・「女将さんのお話を聞いてみたかった」(⇒ なるほど!)
・「2017年、中学一年生の時に釜石オープンウォータースイミングに参加したのでまた来てみたかった。3年でだいぶ変わりましたね」(⇒ えっ、そうだったんですね。なんだか嬉しかったです!)

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和気あいあいと、あるいは黙々と、グループによってその様子は異なりましたが、皆さん手際よく順調に作業を進め、時間通りに終えることができました。

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 さて、今回の体験・活動を通して生徒の皆さんは何かを思い、何を感じたのでしょうか。
別途、成果発表会があるとのことですので、その内容が今から楽しみですね。

 

≪おまけ≫

当日、間寛平さんが「KANPEIみちのくマラソン」で根浜地区を15時頃に通るとの情報があり、盛岡三高の皆さんも少しお待ちしていたのですが、残念ながら間に合わずに出発。わたしはその様子を後日レポートせねばと引き続き待機しておりました。


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【レポート:岩手県沿岸広域振興局 いわて復興応援隊  菊池啓】

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