三陸観光フォーラム2024を開催しました
- 久慈市
令和6年12月14日に、公益財団法人さんりく基金が主催となり、三陸観光フォーラム2024を開催いたしました。
このフォーラムでは、みちのく潮風トレイル、三陸鉄道、三陸ジオパークなどの三陸沿岸地域の特色を活かした観光地域づくりを推進することを目的に久慈市で開催し、県内各地からも多くのご参加をいただきました。
フォーラムの概要
フォーラムでは、基調講演として淑徳大学 学長特別補佐・経営学部長・教授 千葉 千枝子 氏から「岩手三陸エリアの観光発展に今なすべきこと~広域観光の重要性と自然資源の活用、没入感への挑戦~」という演題でお話をいただいた後、パネルディスカッションでは、千葉氏をコーディネーターにパネラーとして久慈広域の観光事業者の方々など3名をお呼びし、三陸地域観光地域づくりの推進について議論が交わされました。
フォーラムの成果と反応
参加者からは、「観光だけの取組ではなく、地域全体での取り組みが重要だと感じた」「基調講演内の、トキ消費、没入感は、特に共感でき、総じて大きな気づきになった」などの感想が寄せられました。
こうしたところから、今回のフォーラムでは、団体の垣根を越えて地域が連携して取り組むことの必要性を改めて認識することが出来たものになったと考えています。
観光経済新聞への掲載掲載について
このたび、私たちが開催した三陸観光フォーラム2024について、講師としてご登壇いただいた千葉 千枝子様が観光経済新聞様に、参加して感じられた様々を記事にしてご紹介いただきました。
記事内容の掲載について、発行元の観光経済新聞様から許可をいただきましたので、下記にご紹介させていただきます。
岩手久慈「三陸観光フォーラム」で“トレイン&トレイル”推し 【出典】観光経済新聞 2025年1月13日 地域創生と観光ビジネス第68回
NHK朝ドラ「あまちゃん」の舞台となった岩手・久慈で年末、さんりく基金・三陸DMOセンター主催の「三陸観光フォーラム」が開催され、その基調講演に登壇した。会場となった久慈市総合福祉センターの講堂は100名を超す聴衆であふれ、当地の観光への期待の高さを感じさせた。
講師冥利に尽きたのは、内陸の盛岡や花巻はもとより南リアスの大槌や釜石、さらには岩泉町や住田町からも遠路、多くの方が聴講に駆けつけてくださったこと。後半のシンポジウムも含め、質疑応答や名刺交換会も活発で、「北リアスと南リアスが一つになった」と言って喜ぶ人もいた。
岩手は北海道に次ぐ面積を誇るだけに、地域によって食文化や方言も異なる。仙台空港に近い宮城三陸とは違い、岩手三陸沿岸にはインバウンドの空白地帯が少なくない。それぞれの個性を生かしつつ手を取り合おうというムードが、広まり始めているのを実感した。
かつて日本人が大挙して欧州のツアーに繰り出した時代、「ロン・パリ・ローマ」の商品が爆発的にヒットした。筆者も添乗員として幾度か引率したことがあるが、それぞれの滞在はわずか1、2泊で、すぐに次の都市へと移動するから時差ボケ解消どころではない。やがてドイツ・ロマンチック街道やエーゲ海クルーズなど、都市型観光とは異なる新ルートが造成され、飛ぶように売れた。
我が国のインバウンドもまた、都市型観光からテーマ型観光へと変遷をたどるであろう。例え今は空白地帯でも、工夫次第で誘客できる可能性を秘めている。飛び地連携や広域観光に商機を見出すことができるはずだ。
今期、カナダの旅行会社がツアー造成してシリーズ化している商品をご存じだろうか。関空インで人気の京都、そこから秋田空港へと飛び、乳頭温泉を経由して岩手・浄土ヶ浜に、そして盛岡から東京へと移動してアウトする高額商品が売れている。
その行程で注目したいのが、「みちのく潮風トレイル」である。こうした自然資源を活用した観光は、ウエストバウンドに刺さる絶好の観光資源として今後、ますます注目されるだろう。イマーシブ(没入感)な体験を加味して、地域の「宝」として磨き上げていくとよい。
また、急峻なリアス海岸を南北に結ぶ三陸鉄道を利用した「トレイン&トレイル」が今後、国内外から注目されるものと予感する。(実は今年中に、筆者も挑戦したいと考えている。)
欧州でサステナブルツーリズムが叫ばれるようになった15年前、スイス政府観光局の取材でユングフラウ一帯を訪問した。グリンデルワルトを起点に鉄道を乗り継いでソフトハイキングを楽しみ、ときには地元料理の手ほどきも受けた。滞在したのは築100年を超すシャレー(山小屋)。だが、内部は綺麗にリノベートされていて、高級コンドミニアムのように家電製品もそろう。食材を買って自炊もした。生涯心に残る取材旅だった。今でも当時の執筆記事がインターネットで閲覧できるので、興味があれば検索を。
末筆となるが、三陸DMOセンター長・中野文男氏と同事業部長の髙橋利明氏には、この場をお借りして御礼申し上げます。
(淑徳大学 学長特別補佐・経営学部学部長・教授 千葉千枝子)