令和4年度盛岡第三高等学校第一学年 総合探究授業同行レポート★宮古コース

  • 宮古市
  • 自然
  • 震災学習
  • 工場見学

【プログラム内容】

宮古市コース 

田老 津波防災の町で考える復興と宮古の新たな取り組み

 

1.田老地区震災ガイド/講話

<プログラム提供者>

株式会社日々旅 代表取締役社長 加藤 洋一郎 氏(田老出身/通訳案内士)

2.共和水産株式会社工場見学/講話

<プログラム提供者>

共和水産株式会社 代表取締役専務 鈴木 良太 氏(イカ王子)

1.田老地区震災ガイド/講話

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当日は学生39名教職員2名の計41名が宮古市にある田老総合事務所に集合しました。バスを降りてガイドの加藤さんからの自己紹介後に、その場で震災ガイドが始まります。集合場所も東日本大震災の被害にあった場所で、すぐ近くには旧田老町役場(旧田老総合事務所)があり、被災でボロボロになった建物の解体が始まっているところでした。

加藤さんの震災ガイドでは、実際に被災をした本人の体験が語られており「あの頃珍しかったiPhoneを取りに戻って探していたら生きていなかった」と当時の状況を振り返りながら学生に話しかけます。それでも子供の頃に祖父母から津波に関して3つの教訓の話を聞き、それを覚えていたために生き延びることが出来たと言います。1:ここは津波が来るところである、2:津波が来たら逃げろ、3:高台に逃げたらしばらくそこに留まれ。当たり前のようですが、この当たり前の事が実際に起こるとパニックになってしまうと言います。

また、自分が高台に逃げようとしたら避難をしているおばあちゃんに出会し、置き去りにしてしまった経験も当時の葛藤とともに語り続けます。「津波てんでんこは津波の時に誰かを助けられなくても、自分を責めるなという意味だと思う。」

津波てんでんこ(命てんでんこ)。津波が起きたら他の人のことは気にせず、それぞれ逃げろ。自分の命は自分で守れ。という言葉の意味です。実際に加藤さんが出会ったおばあちゃんは助かっていたのですが、もし亡くなっていたら自分は後悔していたと語ります。

その後、バスで震災遺構たろう観光ホテルに行き、東日本大震災時の津波の高さを現場で見上げました。  

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「暗い話になってしまうね」と震災ガイドをする加藤さんが次に案内したのは、宮古市では有名な三王岩(さんのういわ)です。海から立ち上がるように見えるこの岩は、高さ37メートルの男岩の両側に女岩と太鼓岩が寄り添い真下に立つと圧巻です。盛岡市の高校のため内陸部出身の学生が多く、海が見えると皆はしゃいで一斉に海を見に行きました。

「どうして津波が来るこの場所に住み続けるんですか?」

震災ガイドをしていて、とあるお客さんから言われた一言に対して加藤さんはこう答えたそうです。

「災いは短いけれど、海からの恩恵は長い」

地域の暮らしを誇りに世界中の人たちにこの宮古市田老地区を伝えたいと話す加藤さんは、外国人にもガイドができるように通訳案内士の資格も取りました。昔は地元は嫌いだったという加藤さんですが、今はこの地域を熱く伝える姿に学生たちも感じるものがあったと思います。

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お昼は宮古港フェリーターミナル3階を貸し切って各自お弁当などを食べました。チラッと見た学生の昼食がお菓子だけだったり、私の学生時代を思い出しました。食事後は皆さん早々に外に出て海を見ながら楽しんでいる風景が印象的でしたね。

2.共和水産株式会社工場見学/講話

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宮古市は海の恵みが豊富です。その中でも共和水産株式会社は宮古港に水揚げされるイカなどを原料に、イカソーメンを始め様々な加工商品を製造・販売しています。

東日本大震災では大槌町にあった倉庫が被災し、製品や原材料が流失。その時にUターンで宮城県仙台市から宮古市に戻って家業を継ぎ、1億円以上の借金から始まった鈴木さんの苦悩の日々から話が始まります。

「海の町である宮古市で水産加工はとても大事」と伝える鈴木さんですが、東日本大震災だけではなく新型コロナウィルスや海水温上昇などによる水揚げの変化や原材料の高騰など、様々な課題に悩んでいると話が続きます。震災後に鈴木さん自ら「イカ王子」と称してブログ等で明るく情報発信をしている中で、このような弱さを第一声で学生たちに語りかけるのは私も驚きました。

「そんな色々な状況の中でも変化に対応にできる人になれ」

イカの原材料が3倍に上がってピンチな時に、新たな取り組みをするきっかけと捉えてイカソーメンを主力商品とする会社でタラフライの商品開発をするなど、日々の苦悩以上に新しい挑戦をしている鈴木さん。メディアに登場するイカ王子にはない鈴木さんの一面を学生たちに見せてくれています。

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その後は2班に分かれて実際に工場の中を見学しました。共和水産藤原工場はHACCP(ハサップ)を取得しており、食品製造過程において品質管理など徹底している様子が分かります。風力で埃などを落とすエアーシャワー室に入室した学生たちは初めての体験で楽しそうにしていました。手作業でイカを捌く様子や実際に加工したものが何処へ流通しているかなど、宮古市の水産加工品が大手取引先や海外まで出荷されている事に驚きます。

もう1班は、先程の会場で鈴木さんことイカ王子がニューヨークに行って商談会をする様子の映像(2019年9月/テレビ岩手放送)を視聴しました。日本の寿司文化は海外で受け入れられているものの、まだ刺身やイカ自体を敬遠する人もおり、アメリカで苦戦する様子も放映されていました。

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「何でそんなに挑戦できるんですか?失敗しても動ける原動力は何ですか?」と学生の問いに、鈴木さんは工場で働く50人の人たちのためにも、失敗してもいくつもチャレンジをしなくてはいけないと語ります。1つのことだけに挑戦しても、先行事例でやっている人がいたり、そのチャレンジが失敗した時のために沢山の企画や案件をタイミングよく進めていく必要があると。

一番最初に話をした苦悩の日々から現在に至るまで、様々な挑戦や地域の人たちとの連携により震災前よりも会社の売上を3倍にした鈴木さんの話は、今後進路などに悩む学生にとって強く胸に刺さったと思います。

最後は鈴木さんからのプレゼントでイカソーメンを貰い美味しそうに食べていました。

今回プログラムを提供していただいた株式会社日々旅の加藤さん、共和水産株式会社の鈴木さんは、地元で活動をする明確な目的を学生に伝えてくれました。加藤さんの「自分の住んでいる街は好き?」という質問に対して手を挙げる生徒は少なかったですが、全行程を終えて帰りのバスの車内ではお二人の地域に対する想いを学生たちが自分に落とし込むきっかけ作りをしてくれたと感じます。

今回ご対応頂きまして誠にありがとうございました。

※注意※

行程内ではマスク着用・手指消毒を心がけ、全体写真の時だけ、マスクを外しております。

<本編でご紹介した団体・施設のご案内>

☆株式会社日々旅/ゲストハウス3710

https://guesthouse3710.com/

☆共和水産株式会社

http://www.kyowa-suisan.co.jp/

【レポート:三陸DMOセンター いわて復興応援隊 町田】

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令和4年度盛岡第三高等学校第一学年 総合探究授業同行レポート★宮古コース

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